河原に落ちていた日記帳

趣味や日々の暮らしについて、淡々と綴っていくだけのブログです。

【読書備忘録】小池壮彦『心霊写真 不思議をめぐる事件史』(2005)

心霊写真 不思議をめぐる事件史 (宝島社文庫)

心霊写真 不思議をめぐる事件史 (宝島社文庫)

 

 明治時代から現代に至るまでの「心霊写真」の歴史を、様々な資料を辿りながら追った労作です。

 著者は、バラエティ番組『奇跡体験!アンデリバボー』の「怪奇探偵」として知られる作家、小池壮彦氏。……と、著者紹介に書いてあるのですが、テレビをまともに観なくなって久しく、小池壮彦氏の名前もテレビとは全く関係のない媒体で初めて知りました。不勉強で申し訳ない。

 本書は元々2000年に宝島社新書から刊行されたもので、2005年になり増補・改訂版が文庫として出されており、私が読んだのもこちらの再発版となります。

〈内容紹介〉※Amazon商品紹介欄から引用
 写ったのは本物か否か? 明治の写真師が、日本初の「心霊写真」を撮影した歴史的瞬間から、疑惑のカットが全国規模で大騒動を巻き起こした戦後、そして家庭用ビデオに「幽霊」が発見された現代まで…ニッポン人は、写真や映像の中に、いかにして「幽霊」を発見してきたのか?「怪奇探偵」として名高い筆者が、徹底リサーチによって、異端の「心霊事件史」を炙り出す不朽の名著。

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【読書備忘録】『歴史を変えた偽書』(1996)

歴史を変えた偽書―大事件に影響を与えた裏文書たち

歴史を変えた偽書―大事件に影響を与えた裏文書たち

 

 1996年、オウムの一件が十分に冷めやらぬ時期に出版された、「偽書」に関する一般向けの論考集です。

 とは言え本書で取り上げられているのは『竹内文献』『東日流外三郡誌』『シオン議定書』などの「これぞ偽書」というものだけでなく、ムー大陸やUFO研究団体など、「オカルト」という言葉で幅広く纏められる対象が扱われています。

 全体的にオカルトバッシング的な色合いが強く、当時のオカルト界に対する辟易した感情がそのまま反映されているように思います。

 なお全くの余談ですが、本書の編集・刊行元であるジャパン・ミックスについて検索してみたところ、「ジャパンミックス被害者掲示」なるページがトップに出てきてドン引きしました。同社は既に倒産しているようですが、いろいろとゲスな経営をやらかしていたことが窺え微妙な気分になれます。

〈内容紹介〉Amazon商品紹介欄より引用
 歴史を動かすアブない文書の中身は。日本のUFO教団「CBA」が起こしたハルマゲドン騒ぎと『地軸が傾く』の関係。聖徳太子が書いた72巻にもなる『大成経』の謎。東北地方が中心だった。『東日流外三郡誌』のウソ。東宝の怪獣映画や梶原一騎のマンガに秘められた、オカルト的なイメージ。ほか多数収録。

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【読書備忘録】橘弘文・手塚恵子編『文化を映す鏡を磨く』(2018)

文化を映す鏡を磨く

文化を映す鏡を磨く

 

 文化人類学者・民俗学者として著名な小松和彦氏の、門下生18名が集ってでき上がった論文集です。本書に寄稿された方々は皆、小松氏の下で学問の道を志されたということなので、「小松和彦被害者の会」による書と言っても過言ではないでしょう。

〈内容紹介〉Amazon商品紹介欄より引用
「妖怪研究とは人間研究である」と宣言し、絵巻・伝説・民話の奥深い森に分け入り、異人、妖怪など排除されてきた存在に光を当て、近代化の過程で見失われていった日本人のコスモロジーを発掘した小松和彦―本書は小松理論の思考方法の核心である四つのキーワード「異人論」「妖怪」「図像と象徴」「フィールドワークからの視座」から論じた気鋭の次世代研究者17人による多様で刺激溢れる論集である。

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【読書備忘録】小澤実編『近代日本の偽史言説』(2017)

『月刊ムー』やらで散々繰り返されていそうなトンデモ歴史言説に*1、11人のアカデミズムの研究者が考察を加えた論文集です。とは言え「偽史」の内容そのものが学問的に妥当か否かではなく、その荒唐無稽な言説が生成された歴史的背景が考察されています。

 本書の序章でも言及されていますが、過去の偽史言説研究は主に在野の研究者たちによって担われてきました(長山靖生『偽史冒険世界』など)。本書はそうした好事的な関心を惹きつけてきた偽史言説を、近代思想史上に位置づける試みと言えるでしょう。

〈内容紹介〉Amazonの商品紹介欄より引用
 歴史とは何か―
「チンギスハンは源義経である」「イエス・キリストは日本で死んだ」「アトランティス大陸は実在する」「ユダヤ人が世界の転覆を狙っている」…。
 現代に生きるわれわれも一度は耳にしたことがある俄かに信じがたい言説のかずかず。
 近代日本において、何故、このような荒唐無稽な物語が展開・流布していったのか。
 オルタナティブな歴史叙述のあり方を照射することで、歴史を描き出す行為の意味をあぶりだす画期的成果。

 TwitterほかSNSで大きく話題を呼んだシンポジウム「近代日本の偽史言説」をベースにした刺激的な一冊!

*1:2018/10/13追記:よく考えると私は『月刊ムー』を読んだことがないので、ここで引き合いに出したのは誤りでした。心よりお詫びいたします。

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【日記】宗教民俗学会の研究報告へ。(2018/9/15)

 本日は、日本宗教民俗学会で行われた吉田唯氏の研究報告、「ホツマ文献にみる「都鳥」について―『秀真政伝紀』と大宝神社所蔵「都鳥の歌」を中心にを聴講してきました。どこの学会に所属しているという訳でもない只の一般人でありながら、快く参加させて頂けたことに感謝です。

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【映画備忘録】『MEG ザ・モンスター』観てきました。

https://eiga.k-img.com/images/movie/86214/photo/12047cca2805dbed.jpg?1530844987

 全世界(のサメ映画ファン)が待っていた、ジェイソン・ステイサムメガロドンとガチバトルを繰り広げるモンスターパニック映画です。

 かく言う私も、情報が公開されてから観たくて観たくてたまりませんでしたよ。

 そして今日、満を持して観に行ったわけなんですが、予想に違わぬ出来で大満足でした。

〈あらすじ〉※公式サイトより引用
 大陸から200キロ離れた海洋研究施設から、潜水した探査船が未知の海溝を発見。しかし、喜びもつかの間、船は未知の海域で消息を絶った。潜水レスキューのプロ、ジョナス・テイラー(ジェイソン・ステイサム)は、救助に向かった先で、生物学の常識を超えた“モンスター”=MEGと遭遇。しかし、その恐怖は単なる始まりに過ぎなかった。
 船を破壊し、研究施設を壊滅させたMEGは、陽光まばゆいビーチをも恐怖に陥れようとしている。ジョナス率いる海洋エキスパート・チームは、この危機をどう乗り切るのか?人類は、果たしてこの脅威から逃げ切ることができるのか⁉

warnerbros.co.jp

 

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【読書備忘録】小松和彦『鬼と日本人』(2018)

鬼と日本人 (角川ソフィア文庫)

鬼と日本人 (角川ソフィア文庫)

 

 妖怪を文化史的に学問する「妖怪学」を提唱したことで知られる、小松和彦氏による最新の著作です。

 小松氏は角川ソフィア文庫において、これまで『神隠しと日本人』『呪いと日本人』『異界と日本人』の、〈怪異と日本人〉シリーズとでも呼ぶべき著作を刊行されていますが、今回のテーマは「鬼」。

 日本の「妖怪」と呼ばれるものの中でも、恐らく最も古い歴史を重ねてきたのが「鬼」という存在だと思いますが、それだけに「鬼」は日本文化に根強い影響を与え続けており、一筋縄ではいかない複雑な性格を兼ね備えています。

 妖怪学最大のテーマの一つである「鬼」に対し、小松氏はどのように迫っていくのでしょうか。

〈内容紹介〉※Amazon商品紹介欄より引用
 雷神、酒呑童子茨木童子、節分の鬼、ナマハゲ…古くは『日本書紀』や『風土記』にも登場する鬼。見た目の姿は人間だが、牛のような角を持ち、虎の皮の褌をしめた筋骨逞しい姿が目に浮かぶ。しかし、日本の民間伝承や芸能・絵画などの角度から鬼たちを眺めてみると、多彩で魅力的な姿が見えてくる。いかにして鬼は私たちの精神世界に住み続けてきたのか。鬼とはいったい何者なのか。日本の「闇」の歴史の主人公の正体に迫る。

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