河原に落ちていた日記帳

趣味や日々の暮らしについて、淡々と綴っていくだけのブログです。

【日記】打ち捨てられた神社について。

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 先日、JR大津駅付近を散策していたところ、打ち捨てられた小さな神社を見つけました。

 

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 鳥居の扁額には「金比羅大権現」の文字が。最後の「現」を書くスペースが無くなり、珍妙なフォントのようになっているのが何とも言えない味を醸し出しています。

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 鳥居の隣にある階段を上がると、かつて本殿であった場所の様子がよく確認できます。

 本殿は無惨に崩れ果て、元々の形は窺うべくもありません。

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 境内にはどこからか水が流れており、小さな川のようになってしまっています。どこかの溝が壊れてしまったのかもしれません。

 周囲に鬱蒼と木々が生えているので、一見人里離れた場所にも見えますが、実際には大津の街中から少し外れた場所です。階段の隅には灰皿代わりの空き缶が複数置かれており、近くの会社員たちの喫煙ポイントになっているようです。

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 常夜燈の金石文を見てみると、「文政元年」(1818年)の文字が。少なくとも、近世後期から存在していた神社であったことは確かのようです。

 残念ながら縁起書の看板のようなものは無かったため、由緒については不明です。

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 図書館の地誌も手繰ってみたのですが、少し調べたぐらいでは情報を見つけることはできませんでした。古い地誌類を根気よく手繰れば、2行くらいの簡単な記述は見つかるかもしれませんが……

 恐らく、大津の町のごく一部の人々(たぶん町内会)によって細々と信仰されていた神社だったのではないでしょうか。しかし時代が下るにつれ、高齢化や経済的な理由等で、段々とお世話がされなくなっていったのだと思います。

 ちなみに普通の街中にある廃神社のため目につきやすく、「大津市 金比羅神社」と検索をかけると他にも複数のブログ記事がヒットします。

 それらの記事を時系列順に並べてみると、どうやら2013年にはまだ本殿が残っていたようですが、既にブルーシートが掛けられ、打ち捨てられた状態だったよう。2014年時点で崩壊してしまい、それ以降4年間放置されたまま現在にいたっているようです。

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 かつてはきちんと神事や掃除などの世話も行われていたのでしょうが、もはやその痕跡を見出すこともできません。

 信仰を失った小社の、慣れの果てを見た気分でした。